よくある九官鳥の輪唱。

ごく平凡な九官鳥の言うことは。

寒いよ。

人肌が恋しくなる悪魔の話。

 

 

「・・・最悪。開いてないじゃん」

雪の積もった街の中、ぼそっと銀髪の小さな少女が呟いた。

 

この銀髪の少女、空奈は、カロスのミアレシティに新しい画材店が出来たから、美術館もあるし行ってみてはどうだとアグリから勧められ、来てみたはいいものの、電車の時間を間違えて早く乗ってしまったものだから店も美術館も開いてなかったというオチだった。

「馬鹿かよあたしは・・・何でこんな早く来ちゃったの・・・」

そう言い頭を抱え込むが、何も起こりはしない。

「・・・待つしかないか・・・寒いけど」

そう呟いて近くのベンチに座った。

 

「・・・」

街はまだまだ正月ムードに包まれていた。何を考えているのか未だにクリスマスツリーが飾られている家もあった。

「・・・」

そんな光景の中、空奈は過去の事を思い出していた。

 

「・・・ゲホゲホっ・・・んん・・・」

小さな町の片隅で、空奈は咳込んでいた。

「・・・お兄ちゃん・・・助けてよ・・・」

小さな少女がそんな事を言いながら震えているのに、誰も助けようとしない。

この町では、空奈は悪魔と忌み嫌われていた。

物を盗んだり、人を傷つけたりと、素行の悪さからそんな事になったのだ。

「寒いよお・・・お腹空いたよお・・・」

そんな事を言いつつ、泣きながら日々を送っていた。

 

「・・・え?」

気が付けば、空奈の真紅の瞳からは涙が溢れていた。

「やだ・・・ちょっと何で・・・」

涙は止まらない。滴り落ちては足元の雪を溶かしていった。

この話は過去の事だ。今は仲間も出来て、仕事もしてと充分恵まれている。

なのに・・・なのに・・・

 

何で泣いてんのあたし。

馬鹿みたい。

こんなの過去の話じゃん。

思い出したからって何なんだよ。今は関係ないじゃんか。

何で止まらないのさ。

何で、何で、何で・・・

 

寂しいよ・・・

 

そんなとき、突然頬に何か熱いものが触れた。

「・・・熱っ!!?何だよ急に!!!」

頬に当てられていたのは缶コーヒーだった。

「・・・誰・・・?」

少女は泣いて余計真っ赤になった目で見上げた。

 

 

ハア~~~~~~~~~~やっと書けた・・・←

全然更新してなくてすみませんでした()

この話は、とあるバラエティー番組で、過去貧しかった人が、クリスマスになるとその過去を思い出して泣きたくなると言ってたのを聞いて思いついたものです。

うん、ホントはクリスマス前に書きたかった()

 

久々の更新なのにまた空奈の話だ・・・←てことで次はクロノとか花火とかの話にしたいです・・・