よくある九官鳥の輪唱。

ごく平凡な九官鳥の言うことは。

だからあんたが嫌いなんだ。

力が無くて不幸になった小娘と力があったせいで不幸になった小娘のはなし。

 

「いいよなあ君は。特殊な力を持って生まれた選ばれし人で」

「・・・いきなり話しかけてきたかと思ったらまたその皮肉ですか」

眉間に皺を寄せ、露骨に嫌そうな顔をして空奈は振り向いた。

「独り言だ。誰も君には話しかけてない」

「なら当人のすぐ近くで言わないでくれない?あんたの皮肉聞いてるだけで胸くそ悪いしこの力気にしてるんだから」

「何で気にする必要があるんだい。選ばれし人の癖してさ」

「この力のせいであたしは酷い目に遭ったからさ」

「何をされたんだい」

「あんたなんかに話す様な事じゃない」

「ケチ」

「うるさい。じゃあ何であんたはこんな力が欲しいの」

「君が話さないなら僕も話す気は毛頭無いね」

「あっそ。じゃああたしのもとから離れて。今すぐ」

「ハイハイ」

面倒臭そうに腰をあげたディスは、そのままどこかへ行ってしまった。

 

___君は知らなくていいさ。僕に力が無かったから、あの時兄さんを助けられなかったんだ。

あの時、僕にあの輩を振り払えるだけの力があったらなあ。

嗚呼、君が羨ましくて憎たらしい。

 

___あんたなんかに分かってたまるか。こんな力が無ければ、もっと平凡で、幸せに暮らせただろうに。

こんな力、あたしには必要ない。

嗚呼、何も持たないあんたが羨ましくて憎たらしい。

 

あんたに話したところでこの思いは分からないさ。だからあんたが嫌いなんだ。

 

 

 

久々のうちの子小咄でした。

ディスは幼少期、不良に囲まれたところを兄のメゾに助けてもらったんですが、その時にメゾは負傷してしまってそれ以来下半身不随状態なんです。彼女はその時の罪悪感に苛まれながら今を過ごしております。

一方空奈も空奈で幼少期、独りぼっちで町をふらふらしてたところ、身体の割に怪力と優れた治癒能力をマッドサイエンティストのセルに目をつけられ、毎日の如くこれは実験だと殴る蹴るの暴力沙汰に遭ってました。傷は治ってますがトラウマはしっかり植えつけられております。

まあお互いえぐい過去を送ってたということですね()

あ、一人称と男っぽい言葉使いで勘違いされそうなんですがディスは女の子です、僕っ娘なんです・・・